
Ông chú người Nhật trên đất Việt Namは、日本人著者でイラストレーターのMurakenさんによる、ベトナム生活を主題にしたマンガエッセイです。Murakenさんが自身のFacebookページで投稿していたベトナムでの実体験を描いたマンガが人気・共感を集めて、2021年にベトナムの出版社から書籍化されました。タイトルの「Ông chú(オン・チュー)」とは、ベトナム語で「おじさん」の意味。まさに「ベトナムにいる日本人のおじさん」というタイトルで、ベトナムでの過ごした日々の出来事がユーモアたっぷりに綴られています。
本書の最大の特徴は、日本語とベトナム語の対訳構成になっていること。
段落ごとに日本語とベトナム語が交互に並んでいて、語学学習者にとっては非常にありがたいつくりになっています。マンガのイラスト+日本語でも同じ内容が綴られているため、ベトナム語を学び始めたばかりの初級者でも照らし合わせながら読み進めていくことができます。マンガだと、そのセリフがどんな場面でどんな表情で発せられたのかより細かい情報が得られるため、語学テキストやフレーズ集などよりももっと実地に近づけた学習ができますね。
ユーモアたっぷりに異文化生活を描く!
著者が描くのは、ベトナムでの「何気ない日常」。
たとえば、ローカル食堂での注文ミス、家の水道トラブル、バイクタクシーのドライバーや大家さん、会社の同僚とのやりとりなど。観光ガイドには載っていない「生のベトナム」が詰まっています。
異文化ならではの驚きや小さなハプニングがあって、思わず笑ってしまうものばかり。ただ、その背景には常にベトナムやベトナム人々のあたたかさや懐の深さが描かれていて、読んでいると自然とベトナムへの愛情が深まっていくのを感じます。ベトナム生活を経験したことがある方なら、「そうそう!」と共感してしまう内容です。
個人的には「ベトナム生活が長くなるにつれてブンボーフエ(ベトナム中部発祥の麺料理)のトリコになっていった話」、「ベトナムの結婚式の話」などが共感ポイントでした。かわいいイラストもあいまって、スイスイ読み進められます。
実用的なベトナム語がたくさん登場!
同署のもう一つの魅力は「日常のベトナム語を自然に吸収できる」ところにもあります。
会話文では実際に使われている言い回しや口語表現がそのまま紹介されていて、語学教科書には出てこないような「生きたベトナム語」にたくさん触れられます。
たとえば、
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「Trời ơi!」=「なんてこと!」
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「Thật hả?」=「本当?」
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「Có rồi!」=「ゲットー!」
- 「Ừa, đúng là thế đấy」=「まあ、そうだね」
- 「Nhìn ngon quá đi!!」=「おいしそーっ」
など、ベトナム人との会話にすぐ使える表現が随所に。
すでにベトナム語を学習している人なら知っているフレーズかもしれませんが、イラストのおかげで言葉が使われている情景が思い浮かべやすいため、すっと頭に入ってきます。
また、日本語との文法や語順の違いが段落ごとに比較できるので「あ、こういう考え方なんだ」と文化的背景まで見えてくるのも面白いところかもしれません。語学書には載っていない、ベトナムの日常に即した言葉や表現が吸収できます。
ベトナム好きやこれからベトナムに住む予定の方に!
We love Vietnam 編集部のメンバーも、同書を読みながら、何度も笑って、何度も「あるある」とうなずきました。そして、ベトナムという国が持つ、飾らない人の優しさや、暮らしの温かさに改めてじんわりと心を動かされました。
自分のベトナム生活と重なって、楽しかったこと、苦労したエピソードなどを思い出すきっかけにもなります。
エッセイとしての面白さと、語学学習としての実用性が見事に融合していて、読むたびに「よし、またベトナム語がんばろう」と思わせてくれるそんな一冊です。
日本人著者のMurakenさん目線でみた、ベトナムの生活や職場などが描かれているため、これからベトナムに赴任される方、ベトナムで暮らす予定の方のベトナム生活の予習にもおすすめ。これを読んでからベトナムに行くと、数ヶ月後に答え合わせができるかもしれませんね!
日本でもベトナムの方が経営しているベトナム書店やそのオンライン通販などで購入することができるそうです。
書籍名 |
Ông chú người Nhật trên đất Việt Nam |
出版社 |
Quang Van Books |
形式 |
日本語+ベトナム語バイリンガル構成 マンガ |
日本での主な購入拠点 |
ベトナム書店など |