
著者のTama Duy Ngocさんに、日本と関わりを持ったきっかけ、これまでの経歴、「Nhật Bản : Hoa anh đào Kimono & gì nữa?」を執筆した目的などをうかがいました。
自己紹介をしていただいてもよろしいですか?
Duy Ngocと申します。ニックネームでTamaと呼ばれています。日本留学前は、編集者として、ホーチミンの出版社で日本の書籍の著作権取引を担当していました。日本留学後は、大学院でポップカルチャーを専攻し、日本のマンガ史を研究しました。その後、日本のコンテンツ開発企業で、著作権のライセンス契約等などを扱い、アジア市場開拓を担当していました。
日本語はどこで勉強したのですか?
ホーチミン市の社会科学人文大学で日本研究を専攻しました。
日本語に興味を持ったきっかけは?
11年生(日本の高校2年生)になる夏、仲の良い隣人が紹介してくれた、日本の人気少女マンガの映画版「イタズラなKiss」にすっかりのめり込みました。これを機に日本語を学ぶ決心をして、社会科学人文大学の日本語専攻に入りました。
日本語学習で大変だったことは何でしょうか?
私の学生時代はまだインターネットが贅沢品で、インターネットの使用にも1時間3000~4000ドン掛かるような時代でした(当時の4000ドンは食堂の1食分)。 画像や音声資料などのマルチメディアリソースが手に入りにくかったため、大学時代は、リスニングやスピーキング力はあまり高くありませんでした。(今と違い情報が少なかったため)日本のイメージすらつきにくい状況でした…笑。
「Nhật Bản : Hoa anh đào Kimono & gì nữa?」を執筆したきっかけは?
来日して、幸いなことに多くの優しくていい日本人に出会えたし、こうした方々のおかげで、自分の日本での暮らしは普段触れられない物事を多く体験できました。自分が出会った日本人、体験できた日本の物事へ感謝の気持ちを残すために、自分のFacebookで頻繁に短い記事で投稿していました。ある時、ある先輩が「内容は大変面白いからまとめて本にしない」とおススメしてくれました。せっかくだから挑戦してみましょうかと心の中に決めて一生懸命本にするように文体・内容の改善・構成などを必死に頑張りました。
同書のポイントは?
ポイントは「構成」です。本書は大きく2つに分けられます。本の題名の通り、前半は「着物美人のイメージをこえる日本」がテーマで、私が出会った日本人についての記事です。後半は「桜のイメージをこえる日本」がテーマで、日本で体験・観察したことについて記事を綴っています。
例えば、前半に「宮城県の人々」という記事がありますが、宮城県の人々はどうやって3・11(東日本大震災)を乗り越えたのかについて書きました。乗り越えるのに、家や街の再建だけでなく、経済の復旧活動、子供たちの心を支える活動なども大切にされていることに大感動しました。このほか「Nさんとベトナムでの小学校建設の旅」という記事では、ベトナムの貧困小学生たちを支えるために、毎日日本でマンションやビルからの資源ごみを回収し、その資源ごみからできた売り上げでベトナムの小学校へ有意義な活動を行っているNさんについての話です。Nさんは、自分が灰になるときは、ベトナムの川に流してほしいと希望を話しました。
本の後半では「盲導犬」、「書店での手書きPOP」、「かいぼり活動」、「包装と日本人の心」、「全国和菓子協会」などについて書きました。
日本人の読者にコメントをお願いします!
日本人にとって当然にみえることかもしれませんが、私から見た日々の日本は定番の高尚なイメージに負けないほど美しいと思います。この本を通じて、ベトナム人に向けて、もう一つの角度から見た「日本人や日本」を紹介したいです。もう一つの角度というのは、日本のキラキラする「ピンク色」の面だけでなく、過労死・少子化などネガティブな「灰色」の面も時には言及しなければなりません。ただ灰色の面が部分があるからこそ、日本・日本人の最大の特徴である「困難に対して諦めない姿勢」がより明確になるのではないかと思っています。